調査活動
●アカコッコ・プロジェクト
アカコッコは、伊豆諸島とトカラ列島のみで繁殖する日本固有のツグミの仲間です。
国の天然記念物。三宅島でのニホンイタチ(ホンドイタチ)の導入と2000年の噴火の影響を受け、
個体数が大きく減少し、環境省により絶滅危惧ⅠB類の指定とされています。
そこでアカコッコ館では、島民ボランティアの方たちに協力いただいて、2008年から島内の
アカコッコの個体数を推定する調査を実施しています。この調査は、①2000年噴火後のアカコッコ
の生息環境を探ること、②アカコッコの個体数のモニタリングの2点を目的に行っています。
(アカコッコ個体数調査)
アカコッコの現状や保護活動について詳しくはコチラ
●リーフチェック(サンゴ調査)
三宅島の海では黒潮の影響で、島のいたるところにサンゴの群落が発達しています。中でもカタン崎と富賀浜では大きな群集がまとまって見られます。
リーフチェックはサンゴ礁の健康度をはかる世界基準の調査で、1997年より世界各地で始まりました。三宅島でもカタン崎と富賀浜において、1998年から調査が行われ、2008年からはアカコッコ館が中心となって実施しています。2023年の調査は通算20回目となり、第26回サンゴ礁学会にてこれまでの調査結果を報告しました。
●カンムリウミスズメ調査
カンムリウミスズメは、日本近海と韓国の島嶼を主な繁殖地としている海鳥です。
繁殖期以外は洋上で暮らすため、バードウォッチャーでも容易には観察できず、多くの人々には名前すら知られていない野鳥です。
これまで日本野鳥の会では伊豆諸島の三宅島、また各地の支部でもカンムリウミスズメの保護活動に取り組んできました。アカコッコ館では、毎年4月中旬~5月上旬に、カンムリウミスズメが繁殖している大野原島(通称:三本岳)の周辺の海で、モニタリング調査を実施しています。
●大路池の鳥類調査
アカコッコ館のすぐ裏手にある大路池は約1900年前の火山活動でできた火口湖です。
周囲2キロほどの湖で、伊豆諸島最大の淡水湖でもあります。湖の周りは樹齢数百年を超すスダジイやタブノキの原生林に囲まれており、三宅島の中でも屈指のバードウォッチングポイントです。
アカコッコ館では、1993年の開館以来、モニタリング調査の一環として、大路池周辺の森で月2回鳥類相の調査を行っています。
●魚類調査(長太郎池調査)
火山島である三宅島には海岸に流れ出た溶岩によって作られた潮だまりが数多くあります。中でも、三宅島南部にある長太路池は、数多くの生き物が生息する生物多様性に富んだポイントです。
アカコッコ館では、1993年より長太郎池での調査や観察会を行い、そこで確認された海水魚を記録しています。
●島内鳥類調査
島内の野鳥の生息・飛来状況を知るために、環境の異なる伊豆岬(海岸・草地)、土佐林道(森林)、雄山環状林道(裸地~草地~林)、釜方海岸(海岸・草地)にて鳥類の調査を毎月1回程度行っています。
また、繁殖期の4~6月は希少鳥類が豊富な坪田林道(森林)での調査も行っています。
●ウチヤマセンニュウ調査
三宅島の山頂部に広がっていた「八丁平」の草地は、島内最大のウチヤマセンニュウの繁殖地でしたが、2000年噴火によって消失してしまいました。これによりウチヤマセンニュウの島内生息数はおよそ半減したとされています。
アカコッコ館では、2000年噴火後のウチヤマセンニュウの生息状況を把握するため、2008年~2014年、2019、2020年に調査を行いました。
その結果、島内にウチヤマセンニュウの新たな生息地が拡がりつつあることが分かり、個体数も回復傾向にあると考えられました。詳しくは、ミヤケンシスVol.24をご覧ください。
●生物季節の調査
アカコッコ館では、三宅島とその周辺海上で見られる野鳥、三宅島内で見られる植物の開花状況、生物季節の調査を1993年の開館以来行っています。調査結果ではどの種類がどの時期に出現しているか、大まかにとらえることができる内容となっています。